ELPS(エルプス)工法
概要
近年、都市部における土被りが小さいトンネル工事にNATMが採用される事例が増えており、補助工法としての先受け工法の採用が考えられます。従来、12.5m程度の長さの先受け工が一般的に施工されています。しかしながら、これらの先受け工は削孔中の方向制御は行わないため、30mを越えるような長尺の施工に対しては精度の低下が危惧され、一般的ではありませんでした。本工法は、削孔中にボーリング先端の位置を高精度に検知し、その結果をもとに計画線に対して方向制御できる先受け工法です。その結果、50m級の超長尺先受けを高精度に施工できます。
特長
- ●先端に取り付けたテーパービットの向きを調整することにより方向制御を行います。
- ●長距離でも高速で確実な削孔を可能とするため、先端に回転打撃を与える削孔方式(ダウンザ・ホール・ハンマー)を採用しています。(土丹では50cm/分以上)
- ●削孔中、ボーリングの位置を計測システムにより高精度に把握します。
- ●従来の長尺先受け工法(12.5m)に比べ、地表面沈下を10%以上低減できます。*
- ●地表面沈下を大幅に抑制する場合、従来工法に比べて、コストは10%、工期は20%低減できます。**
- ●本技術は先受け以外にも、長尺の鏡ボルトや脚部補強に適用できます。
* 解析結果
** 従来工法で6mをラップさせ、延長50mを施工した場合。
工法とシステムの概要
■工法の概要
本工法で打設する鋼管は外管とハンマー・内管の二重管で構成され、施工終了後に内管を引き抜き、外管を先受け管として地盤中に残置させます。内管の先端に方向制御用のテーパービットを取り付け、ダウンザホールハンマーにより内管を打撃するとともに回転させます。外管を内管の進行に伴い連行させます。
■方向制御システム
内管の先端に取り付けたテーパービットのローリング角度を高精度に検知し、テーパーを目標方向に向け、打撃により方向を修正します。
方向修正後は回転を併用しながら削孔します。
■線形計測ジャイロシステム
一定長さを削孔する毎に、ピッチング角、ヨーイング角、ローリング角を高精度に計測できるセンサーを内管に挿入し、打設済みの鋼管の線形を高精度に測定します。
■地盤変位抑制効果
■50m制御削孔結果
施工事例